自動車ファンの間で「Gクラス」といえば、メルセデス・ベンツのアイコン的なクロスカントリー車としてよく知られています。しかし、一口にGクラスといっても、モデルによってその特徴が大きく異なります。本記事では、「Geländewagen」から始まり、現在の「465モデル」に至るまでのGクラスの歴史にフォーカスし、それぞれの特徴を解説します。
記事内容
- ゲレンデの名の由来:開発コード「Geländewagen」
- 1979年~ 460モデル:Gの原点
- 1989年~ 463モデル: 伝説の礎、初代Gクラス
- 2018年フェイスリフト前 最終期 463モデル:ヘビーデューティオフローダー
- 2018年フェイスリフト後 463モデル最終期:進化のスクエア、完成の2018
- 2024年~ 465モデル(内燃機関):伝統と革新の交差点
- 2024年~ 465モデル(EV):電動の新たな鼓動
●ゲレンデの名の由来:開発コード「Geländewagen」
1970年代、メルセデス・ベンツはNATOの軍用車両として使用できる堅牢なオフロード車を開発するプロジェクトを開始しました。従来の車とは一線を画す、荒地や険しい地形での走行を主目的とした車両が必要とされたのです。「Gelände(ゲレンデ)」は「地形」や「フィールド」を意味し、「Wagen(ヴァーゲン)」は「車」を指します。このことから「Geländewagen」という名前が開発コードとして使われるようになりました。スクエアなボディ形状や丸形ヘッドライト、スペアタイヤ、ドアヒンジ等の機構はこの頃から伝統を踏襲しながらも様々な革新を取り入れ進化してきました。
●1979年~ 460モデル:Gの原点
1979年に誕生した「460モデル」は、Gクラスの原点ともいえるモデルです。軍用車両の他、救急車、警察車両として開発された車両でしたが同時に民間でも使用できるよう、複数のボディバリエーション(2ドアまたは4ドア、またソフトトップ)がラインアップされました。「460」はその実用性、耐久性、そして悪路走破性の高さから、アウトドアや遠征に適した万能車両として広く認知されました。
●1989年~ 463モデル: 伝説の礎、初代Gクラス
「463モデル」は1989年にデビューし、「Gクラス」の名を初めて冠したモデルです。このモデルが世界中に「Gクラス」の名を広めました。これまでの軍用車両的な見た目の「460」から一転して、完全な民間仕様としてのラグジュアリーな装備を採用。内外装の高級感が増し、日常的な快適性が加わりました。
●2018年フェイスリフト前 最終期 463モデル:ヘビーデューティオフローダー
誕生以来受け継がれてきたラダーフレームと前後リジットアクスルの組み合わせという本格派オフローダーを象徴する足回りを搭載した最後のモデル。外観もそれを彷彿させるヘビーデューティなデザインを採用しており、名実ともに本格派オフローダーのGクラスです。
特徴
・無骨さこそ「G」というコアなファン向けのヘビーデューティなデザイン。
・ヘッドライトは丸型を維持しつつ、サイズがやや大型。
・ヘッドライト下部にポジショニングライトを配置。
・グリルには太いスリットが採用され、ワイドで堅牢な印象。
・スペアタイヤはハードカバー付きになり、メルセデスのロゴが入るなど装飾性が向上。
・リアカメラはテールゲート上部に突き出す形で装備。
※特徴として掲載している内容はあくまで参考です。年式やモデルにより、一部仕様が異なる場合があります。
●2018年フェイスリフト後 463モデル最終期:進化のスクエア、完成の2018
1989年から続く「463モデル」の歴史上、最も多くの刷新を取り入れたモデルが2018年に誕生します。見た目はクラシックなGクラスのシルエットを踏襲しレトロな外観を維持しながらも、現代的なディテールが随所に取り入れられました。内部構造は一新され、現代のプレミアムSUVとしての地位を確立したモデルです。
特徴
・丸型デザインを継続しつつ、更に大型化したマルチビームLEDのヘッドライトを採用。
・ポジショニングライトはLED光ファイバーにより、リング状に変更され、モダンで明るい印象に改良。
・グリルは3本の横スリットが更に太くなり、更に存在感がアップ。
・電動格納ミラーが初めて標準装備され便利性が大幅に向上。
・リアカメラはテールゲート(スペアタイヤカバー下側)に格納されており、リアのシンプル美なデザイン形成に貢献。
・伝統のラダーフレームと新開発の独立懸架式ダブルウィッシュボーンをフロントサスペンションに採用し、走行性能を大幅に向上。
※特徴として掲載している内容はあくまで参考です。年式やモデルにより、一部仕様が異なる場合があります。
●2024年~ 465モデル(内燃機関):伝統と革新の交差点
「465モデル」は、オフローダーとしての卓越した資質や伝統を具現化したデザインなど旧型「463」の優れた点を継承しながら、最新世代の電動化パワートレイン(ISG)、高度な安全運転支援システム(インテリジェントドライブ)、先進のインフォテインメントシステム(MBUX)を採用することで、誕生以来守り続けてきたGクラスの魅力はそのままに、走行性能、安全性、快適性の全てにおいて大幅に進化したモデルです。
特徴
・グリルデザインを旧型の3本ルーバーから4本ルーバーに変更。さらにルーバーの肉抜きを廃止。より重厚感のあるデザインへと進化。
・Aピラー部のトリム形状を最適化し、ルーフ前端にスポイラーリップを追加。これによりエアロダイナミクスを向上。
・リアカメラをこれまでのテールゲート(スペアタイヤカバーの下側)からリアバンパー中央に変更。
※特徴として掲載している内容はあくまで参考です。年式やモデルにより、一部仕様が異なる場合があります。
●2024年~ 465モデル(EV):電動の新たな鼓動
Gクラス史上初の電気自動車。4つのタイヤごとに独立したモーターを装備した「4輪独立モーター」を装備。4輪のモーターをそれぞれ独立して制御できることにより、舗装されていない路面でその場で旋回可能な「G-TURN」*等、独自のオフロード機能を搭載。GクラスならではのDNAを継承しながら、随所に電気という要素を取り入れ、オフロード走破性を進化させた、全く新しい選択肢を提案する一台です。
* G-TURNは公道では使用できません。
特徴
・ボンネットフード後端は内燃機関モデルに比べ更に持ち上げられたデザインとなっており、空力特性に貢献。
・リアホイールアーチには電気モデル専用のエアカーテンが加えられており、空力特性に貢献。
・Gクラスの特徴的なスペアタイヤに代わってエレガントなデザインボックスを装備。ボックス内には、充電ケーブルや工具、スノーチェーン等が収納可能。
※特徴として掲載している内容はあくまで参考です。年式やモデルにより、一部仕様が異なる場合があります。
Gallery
ギャラリー
まとめ
「Geländewagen」のDNAを引き継ぎ、民間車としてもデビューとした「460」。1979年に「460」を街乗りラグジュアリーに改変し、最高級クロスカントリー車として誕生した「463」。それが「Gクラス」の名を初めて冠した瞬間でした。Gクラスはその誕生以来、個性的なスタイリングや堅牢なボディはそのままに、常に最高のパワートレイン、装備を加えながら進化を続けています。長い歴史の中で最も大幅な改良を受けた2018年には、その伝統をメルセデスの最新技術でアップデートすることで、オンロード/オフロードの両面において、卓越したパフォーマンスを発揮する究極のオフローダーとして更にその地位を確立しました。そして2024年国内で発売された最新の「465」では、ISGによる電動化を加えたパワートレインの他、完全電動モデルをラインアップ。他にもMBUXやインテリジェントドライブ等、かつてない先進装備を多数設定しています。どこにいても、唯一無二の存在。それがGクラスです。
- 写真はイメージ及び欧州仕様を含む場合があります。
- 本記事で紹介する内容は、調査時点(2024.12)の内容で、現在と異なる場合があります。
- 特徴として掲載している内容はあくまで参考です。年式やモデルにより、一部仕様が異なる場合があります。