メルセデス・ベンツのコンセプトカーは、同社の革新性と未来志向を象徴する重要な役割を果たしています。これらの車両は、単なる試作車両ではなく、将来の自動車技術やデザイン哲学を具現化するための、企業のビジョン、ミッション、バリューを表明するコンテンツとしての役割も果たしています。本記事では、メルセデス・ベンツの歴代コンセプトカーについて紹介いたします。
記事内容
- VISION AVTR(ビジョン アバター)
- Mercedes-AMG PureSpeed(メルセデス AMG ピュアスピード)
- VISION EQXX(ビジョン EQXX)
- Concept EQG(コンセプト EQG)
- Project MAYBACH(プロジェクト マイバッハ)
- Vision URBANETIC(ビジョン アーバネティック)
- Concept CLA(コンセプト CLA)
- Vision One-Eleven(ビジョン ワン・イレブン)
VISION AVTR
「VISION AVTR(ビジョン アバター)」は、映画『アバター』とのコラボレーションで生まれた未来的な電動コンセプトカーです。自然界との調和をテーマとしたデザインが特徴。特に生物模倣技術(バイオメティクス)を取り入れたボディ後部の「バイオニックフラップ」は、これまでの自動車にはなかった生き物のような動きを実現するデザインとなっています。また、BCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェイス)を取り入れており、ユーザーはデバイスを頭部に取り付け、脳波を使って様々な操作を行うことが可能です。これは映画『アバター』で主人公が肉体(アバター)を脳波で操作することにインスピレーションを受けています。持続可能性を重視し、環境に優しい素材が使われています。
Mercedes-AMG PureSpeed
「Mercedes-AMG PureSpeed(メルセデスAMG ピュアスピード)」は、今後展開予定のハイエンドブランド「ミトス」からリリースされる最初のモデルとされており、Mercedes-AMG SLをベースに、フロントスクリーンを無くしたスピードスター仕様。室内は2シーター。外観において最も特徴なのは、Aピラーに代わり、F1と同様の「ハロ」システムを採用した点。3本の柱で構成する専用設計のブラケットをボディに直付けし、乗員保護を図るとともに、形状は空気力学的にも最適化され、車重の軽量化を実現しています。発表されている生産台数は世界250台。世界的なメルセデス・ベンツの愛好家やコレクターのみが手に入れることができることでしょう。まさに質を追求した最上位スポーツモデルのベンチマークです。
VISION EQXX
「VISION EQXX(ビジョンEQXX)」は、メルセデス・ベンツの電動モビリティの未来を示すコンセプトです。効率的なエネルギー管理と長距離航続を実現するための革新技術を搭載しています。デザインは、1930年代のメルセデスの速度記録車「T80」を思わせる流線型でエコロジカルな美学を追求しており、シンプルでありながら未来的な外観が特徴です。Cd値は0.17という類を見ない空力性能を有しおり、満充電時の航続距離は1,000km以上。これは一回の充電で東京から福岡まで帰ることができる距離に値します。
Concept EQG
「Concept EQG(コンセプトEQG)」は、メルセデス・ベンツの象徴的なG-Classの電動版です。Gクラスは1979年に初代が誕生して以来、40年以上に渡りその外観はわずかしか変わっていません。独特なドアハンドルやドアを閉めた時の特徴ある音、リアエンドドアに取り付けられたスペアタイヤ、フロントの目を惹くウィンカーなどが挙げられます。そのGの伝統を着実に踏まえ、ひと目でGクラスとわかるこのコンセプトカーは、電動の時代に突入し、大変革期を迎える業界の中で、伝統と革新の両立を具現化することを表明しています。いつだれが見てもメルセデス・ベンツである為に、変わらない為に変わる。そのように主張しているかに思えます。
Project MAYBACH
「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー」のクリエイティブディレクター、「ルイ・ヴィトン」のメンズ・アーティスティックディレクターを務めた故ヴァージル・アブロー。彼とメルセデス・マイバッハのコラボレーションによって誕生した「Project MAYBACH(プロジェクト マイバッハ)」は、全長6メートル、2シートの電動クーペ。伝統的で都市型であったこれまでのマイバッハとは明確に区別され、すべての要素がゼロベースから作られています。大自然からインスピレーションを受けたデザインやオフロード性を取り入れたこの車は、究極のラグジュアリーという成熟の中に、少年のような冒険心が取り入れられたようなモデルです。
Vision URBANETIC
「Vision URBANETIC(ビジョン アーバネティック)」は、都市型モビリティの未来を描いた電動のコンセプトカーです。この車両は、自動運転とライドシェアを基盤にした設計が特徴で、運転手不要で効率的な都市交通を実現します。シャーシだけで自走することができ、人が移動するのか、荷物を運ぶのかという用途に応じて、シャーシに乗せるボディを交換します。都市のニーズに合わせた革新的な交通手段として、交通量を減らし、都市インフラへの負荷の緩和や、生活クオリティの向上、環境負荷の低減を目指す未来の都市交通のビジョンを表しています。
Concept CLA
「Concept CLA(コンセプトCLA)」は、メルセデス・ベンツの未来のエントリーラグジュアリーセグメントにおけるモデルを定義していると言えます。VISION EQXXの開発で培った技術要素を取り入れ、電費性能は12kWh/100km。満充電からの航続距離は750km以上。最大の特徴は、ヘッドライト、グリル、ガラスルーフ、テールランプ、ホイールなど、あらゆる箇所にあしらわれたメルセデスのスリーポインテッドスター。シートにはメルセデス・ベンツのエンブレムにかつて含まれていた月桂樹を再解釈したエンボス加工が施されています。これらは量産車においても、メルセデスがよりアイコニックラグジュアリーに向かっていくことを表しているようです。
Vision One-Eleven
「Vision One-Eleven(ビジョン・ワンイレブン)」は、メルセデス・ベンツの伝説的な実験車「C111」をオマージュした電動コンセプトスポーツカー。EQSやEQEに採用された「ワンボー・デザイン」によって、ひとつの弓なりのような美しい弧を描くシルエット。C111や300SLといったデザインアイコンからインスピレーションを受けたガルウィング。スポーツカーに対する革新と挑戦を象徴するコンセプトです。デザインは未来的でありながらクラシックなスポーツカーのエッセンスも取り入れており、過去と未来を繋ぐ新しいスポーツカーのビジョンを示しています。Concept CLAと同じく、アイコニックラグジュアリーという方向性を示しているようです。
まとめ
これらはいずれもメルセデス・ベンツの伝統と革新、情熱と理性、未来に対するビジョンを具現化しており、技術とデザインの最前線を体感できるのがコンセプトカーです。それぞれが異なる未来のモビリティの可能性を示しており、メルセデス・ベンツや自動車の進化がどこに向かっているのかを垣間見ることができます。
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- 画像はイメージや欧州仕様を含んでいる場合があります。
- 本記事で紹介する内容は、調査時点(2024.09)の内容で、現在と異なる場合があります。
- これらの数値、機能や紹介内容はコンセプトカーに関するもので、実際の市販車とは異なります。